579校長室のひとり言(Promise)

運動会前日の校長室
「見ている人をあっと驚かせないか?」
彼は、力強く頷いた。「はい。」

彼は、走るのが苦手です。
その背中を押してみようと決めたのは、
6年生教室で、これを見つけたからです。

 

 

 

 

 

走り書きメモを渡し、校長室へ誘う。
二人っきりで、秘密の作戦会議をしよう。
全ての距離は無理だから、約半周だ。
「入場門あたりまで、全速力で走る」
いいか、全力だぞ。今までで最高の。
約束できるか? 
その答えが、冒頭の「はい。」でした。
家の人や担任の先生にも話さない。
二人だけの秘密の約束です。

果たして・・・。
彼は、約束を守りました。きっちりと。

歯を食いしばり、
前傾姿勢で、懸命に足を振り上げる。
世界で唯一、事前に知り得た者として、
彼の強い決意を、その最高の瞬間を
見届けることができたのです。
涙が出ました・・・。

秘話だけど・・・、
彼への敬意を込めて、
これは全世界に発信したい!